『広島に原爆を落とす日』を観てきました(8月7日。シアターコクーン)。7月7日に亡くなった
つかこうへいが多少なりともかかわった最後の芝居(演出:岡村俊一、監修:杉田成道)ということになります。
つかこうへいは敬愛

する劇作家ですが、好きになった80年ごろはお金も時間もなく
、また、82年につかこうへい事務所が解散してしまったため、
風間杜夫や加藤健一、根岸季衣らの芝居は一度も観ることなく、小説やエッセイを読んだり、彼が脚本を書いた映画を観たりすることくらいしかできませんでした。
初めて芝居を観たのは演出活動を再開した89年。それからは、できるかぎり、場合によっては同じ芝居で2度、3度、足を運ぶようになりました。
彼の芝居の多くは屈折した純愛劇。その魅力は何と言ってもセリフの迫力

です。
セリフの勢いで理不尽なストーリー展開を納得させ、その迫力だけで泣かせます。この点は、「口立て

」(台本はあるものの、稽古場で頭に浮かんだセリフを口頭で役者に伝え、演じさせる)という独特の演出法によるところが大きいように思います。
さて、この日の『広島に原爆を落とす日』。演出が本人でなく、口立てでもなかったということもあるのでしょうが、こぢんまりとしていた分、迫力がなく

、“黒船”
リア・ディゾンのバク転(何とできるんですよ!)以外、とくに見るべきものがありませんでした

。でも、2度目のカーテンコールのとき、だれもいないステージに一本だけピンスポットが当たっていたのには涙が出そうになりました。
本人が演出した晩年の作品も少しマンネリ気味

でしたが、舞台化してほしい作品もいくつもあったし、やっぱりもう少し生きていてほしかったなあ。本当に残念

。

広末涼子、黒木メイサ、石田ひかり、牧瀬里穂など、いろんな女優が主役をはった飛龍伝。でも、一番は何と言っても、このときの富田靖子。カッコよかった。ちなみに、2列目左はこれがメジャーデビューの筧利夫。今回も出てたけど、老けたなあ。
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